แชร์

第十九話 花の蜜

ผู้เขียน: 島田 たのじ
last update วันที่เผยแพร่: 2025-07-20 06:07:09

第十九話    花の蜜

 「ごめんください……」 昼見世が終わりの時間、一人の来客が現れた。

「はーい」 小夜が対応する。

そこには二十歳くらいの女性が立っていて

「私、引手茶屋の千堂屋《せんどうや》で働いています野菊《のぎく》といいます」

「はい……」 小夜は不自然な事に戸惑っていた。

「良かったら、此処《ここ》で働けないでしょうか?」 野菊の言葉に、小夜は驚く。

「少々、お待ちください」 小夜は、采の元へ向かい説明をしていた。

そして、 「なんだい? いきなりどうしたんだい?」 采も驚き、野菊に聞くと

「あの……茶屋から、接客を勉強しろと言われまして、働きながら勉強できる所を探していまして……」 と、野菊は説明するが、采は困っている。

「まぁ、話した事は解るが……ここで働くのは女郎だよ? アンタ、出来るのかい?」

「やった事はありませんが、お願いします」 野菊は何度も頭を下げる。

そして、細かい説明をした采は悩んでいた。

「う~ん……」 

「どうしたんだい?」 采に話しかけてきたのは文衛門であった。

「お前さん……」 そして、采は文衛門に野菊の事を説明すると

「なんだって? 千堂屋が? ちょっと行ってくる」 文衛門は、慌てて千堂屋に向かった。

そして、文衛門は千堂屋で店主と話していた。

「それって……本気かい?」 文衛門は驚いている。

どうやら野菊は、千堂屋の店主の娘だと言う。

千堂屋は引手茶屋である。

三原屋などの大見世は、千堂屋からの紹介で来る客も多い。 そんな得意先の茶屋ではあるが、

「本気かい? なんで娘を女郎にするんだい?」 文衛門は、興奮気味に話していた。

引手茶屋の店主は、本気のようだ。

話しを聞いた文衛門は、野菊を預かることになってしまった。

「お前さん、本気かい?」

当然ながら、受け入れをした文衛門に采は、驚きと怒りさえ混じった声で叫んでいる。

「あぁ、仕方ない……あの親父も、「働かせるなら評判の良い所に……」 なんて言うものだから……」

文衛門が肩を落としながら話していると、

「まぁ、なっちまったもんは仕方ない。 野菊、菖蒲に付いて勉強だよ」

采は野菊に指示をし、一緒に菖蒲の部屋に向かった。

そして、菖蒲に説明をすると

「えっ? お婆……本気?」 当然ながら、菖蒲は唖然《あぜん》としていた。

「よろしゅう、お頼み申しんす……」 野菊は三つ指を立てて頭を下げていた。

(なんで野菊さんなのよ……)

「……ちょっと、小用に行ってくる……」 早くも菖蒲は疲れてきていた。

それから野菊は菖蒲から教わり、数日が経った。

梅乃が日中に仲の町を歩いていると、千堂屋の主人が声を掛けてくる。

「お嬢ちゃん、三原屋の子だよね? 娘はどうだい?」 そう聞いてきた。

梅乃は返事に困っている。

「それは……姐さんたちに聞かないと、なんとも……」 こんな程度にしか返せなかった。

「そうか~」 千堂屋の主人も返事に困ってしまった。

「あの~ どうして野菊姐さんを妓女にしたがるのですか?」 これは、梅乃の素朴な疑問であった。

(普通、自分の娘を妓女になんて……それも大きな引手茶屋だ。 お金に困っているなんて思えないし……) どうしても梅乃には理解できなかった。

「そりゃ、器量が良くなって欲しいからさ! じゃないと、安心して嫁に出せないだろ?」 千堂屋の主人がニコニコして言うと、

「へっ?」

 「あの……妓女になったからと言って、器量が良くなる訳じゃ……」

 「それに、茶屋の娘より、妓女の方が金持ちに身請けされやすいだろ?」

 続けて千堂屋の主人が言う。

「へっ?」 梅乃は目が点になっていた。

(そんな理由で娘を妓女に?? さすがに子供でも分かる…… コイツは馬鹿だ……) 梅乃は十一歳。 人生で、人を馬鹿と思ったのは初めてであった。

「こんな子供が……不躾《ぶしつけ》で申し訳ありませんが、妓女は辞めた方がいいと思います。 簡単に体を売ると言うのは良くないと思います」 梅乃はハッキリと言った。

さらに、「私は捨て子でした。 あと、借金があったりして仕方なく働く場所なんです。 私は、野菊姐さんには無理だと思います……」

そう言って、千堂屋の主人を説得していたが

「無理? ウチの娘は、そんなにダメかい?」

「妓女は借金を返す為に必死です。 命を賭けて頑張っています。 もし、野菊姐さんが客を取れなかったら、三原屋を追い出されます。 そして仕方なく安い妓楼に行って、病気とかになったら……」

梅乃が精一杯に説得をすると、

「確かに、病気は困るな……」

「はい。 今まで通り、茶屋の姐さんでいてほしいです」

「わかった。 これから引き取りに行こう」

そう言って、千堂屋の主人が三原屋に出向いたのは三十分後であった。

「本当に申し訳ありません。 私も軽はずみな事をしました」 千堂屋の主人は、頭をさげていた。

「いえいえ……考え直してもらえて良かったです」 文衛門はホッとしていた。

(客を取る前で良かった……傷物《きずもの》にさせた後じゃ、面倒だった……)

そして野菊は茶屋に戻っていった。

「お前、よくやったよ~ どうなるかと思ったよ」 文衛門は、梅乃の頭を撫でて言った。

その後、野菊に変化が出てくる。

色気が増し、男が好むような女になっていったのである。

そして、それを見たさに、引手茶屋に集まる男たちが増えていった。

(意外にも男とは単純なんだな……) 子供ながらに梅乃は、思ってしまう。

この数日、菖蒲が悩み始めていた。

「どうしました? 菖蒲姐さん」 梅乃が聞くと、

「ほら、野菊姐さん……あんな無垢《むく》な子が変わって人気になったでしょ? 私も真似をしようかと……」 菖蒲は、まだまだ迷走中である。

「うっ……」 そんな菖蒲を見て、頭を抱えた梅乃だった。

(妓女にもなっていない女の人に流されるとは……)

厄介払いができた三原屋は、普通の日々を送れるようになっていった。

しかし、まだ覚めない妓女がいた。

菖蒲である。

「こっちの方がいいかな~」 などと言いながら、鏡の前でウインクをしたりしていた。

(意外に、めんどくさい性格なんですね。 姐さん……) こっそり見ていた梅乃は、そう心の中で呟く。

翌日、梅乃は千堂屋に来ていた。

夜見世の食事の注文などをする時は千堂屋に頼んでいた。

「こんにちは。 注文書です。 よろしくお願いします」 

梅乃は事務的に挨拶をして、注文書を渡していると

「あぁ、梅乃ちゃん。 この前は、ありがとう♪」 注文書を受け取ったのは野菊である。

「いえ、野菊姐さんは此処が似合っています♪ ほら、姐さんを見にくる男の人もいっぱい♪」 

「そんな……三原屋で勉強させてもらったおかげよ」 野菊は照れながら話した。

そして、野菊が店の奥から花束を持って来て、

「よかったら、これを飾って♪ お世話になったから……」 

「ありがとうございます。 誰に渡そうかな?」 梅乃は、誰に似合う花かを考えていると

「できれば……菖蒲さんに……」 野菊は、照れたようにモジモジしている。

「わかりました。 菖蒲姐さんに渡しておきます」 梅乃は頭をさげ、千堂屋を後にした。

そして三原屋に戻った梅乃は

「菖蒲姐さん、野菊姐さんから渡して欲しいと……」

そう言って、菖蒲に花束を渡す。

菖蒲は花に顔を近づけ、

「いい匂い♪」 大層、喜んでいた。

この後、花の蜜とは恐ろしいものだと菖蒲が知るのは、もう少ししてからである。

数日後、とある男性が三原屋に来ていた。

「いらっしゃいませ」 梅乃と小夜は頭を下げ、采を待った。

この男性は、妓女を求めての客ではない。

采と文衛門に用事があって来た客人である。

「はいはい……じゃ、こちらへ」 采は少し慎重な言葉運びで、奥の部屋に客人を通した。

『コソ~ッ』 梅乃は文衛門の部屋の外から耳を当てた。

「こら、盗み聞きは良くありませんよ。 梅乃」 この行動に注意をしてきたのは赤岩である。

「すみません……」 梅乃は大部屋に行こうとしたが、

「梅乃、ちょっと待って」 赤岩が呼び止める。

「はい、なんでしょう?」

「コッチへ」 赤岩が、自分の部屋に梅乃を呼んだ。

すると、赤岩は梅乃の着物の裾をまくる。

「何するんですか?」 梅乃は、咄嗟に裾を押さえる。

「こんなにアザが……女将《おかみ》さんに言ったらいいのに……」 赤岩は梅乃に同情していた。

「いえ、いいんです。 私がダメなので……」 そう言って、梅乃は去ろうとするが

「これ、塗りなさい」 赤岩は、軟膏を梅乃に渡す。

「赤岩さん……」 梅乃は涙ぐむ

「いいんですよ」 赤岩は微笑んだ。

それからも、妓女は梅乃や小夜を叩いたり、蹴ったりすることがあった。

(これは良くないな……) 赤岩は采に話そうか悩んでいる。

そして数日後、三原屋に異才《いさい》な女の子がやってきたのである。

「……」

「へっ?」 梅乃や小夜は驚いていた。

อ่านหนังสือเล่มนี้ต่อได้ฟรี
สแกนรหัสเพื่อดาวน์โหลดแอป

บทล่าสุด

  • ありんすっ‼ ~吉原、華の狂騒曲~   第百十四話 かんざし

    第 百十四話    かんざし 海は静かに波を立たせている。 軍艦が白波を作り、しばらくすると穏やかな青い海に戻っていく。 「高坂様、一週間も船に乗っていますが薩摩とは遠い所なのですね……」 船酔いも落ち着いた頃、梅乃が甲板で退屈そうに話す。 「一ヶ月は掛からないが、まだ一週間だ。 まだ掛かるな……」 当時の船はスピードは遅く、丈夫さが重視されていた。 「三原さん、すまない…… 怪我をした人がいて……」 医師団の一人が呼びにくる。 「どうされました?」 梅乃が慌てて船内に向かうと 「ううぅぅ……」 兵隊の一人がうずくまっている。 「どうかされましたか……?」 梅乃が兵隊の肩を持ち抱えると 「腹が……」 兵隊は腹痛になり、屈んだ時に船の揺れで頭部を裂傷していた。 「医務室に行って手当てをしましょう」 梅乃が兵隊を起こし、連れていかせようとする。 「待て! 勝手に持ち場を離れることは許さん!」 同じ兵隊の上官なのだろう。 胸元には沢山のバッチが付いていた。 「体調が悪いし、頭から血も出ております。 手当てが済んでから戻れば宜しいじゃありませんか」 梅乃は懇願するような目で上官を見る。

  • ありんすっ‼ ~吉原、華の狂騒曲~   第百十三話 里はいずこか

    第 百十三話    里はいずこか 「わぁ~♪」 梅乃は感激していた。 人生で初めて船に乗り、海から見える陸をみて喜んでいる。 「梅乃ちゃん、船は初めてかい?」 大木がニコニコしながら訊くと 「前に小さなタライ船に乗ったことがあります……」 梅乃はケロッと話す。梅乃がタライ船に乗ったのは玲たちに誘拐された時だ。 宴席でその話を聞いた事があった大木は思わず苦笑いになっていく。 (そんな壮絶な経験をアッサリと……)  梅乃が海面を見ていると小さな魚が跳ねている。「大木様、これは何という魚でしょうか?」 梅乃が訊く。 キラキラした眼に大木は思わずドキッとしてしまった。 (いかん…… 梅乃はまだ十五歳じゃないか……) 陸から離れ二日、近衛師団や医師団は顔を青くするようになっていく。 「うえ~っ―」 船酔いである。 「大丈夫ですか?」 梅乃は船で救護にあたった。 「軍艦は揺れるからな…… そのうち慣れるよ」 大木は笑っている。 (医師団は船に乗らないから解るが、兵隊さんも?) 梅乃が首を傾げる。 近衛師団は天皇直轄の陸軍であり、初めて船に乗る者も多かった。  軍医の一人の年配男性がやって来て梅乃に話す。 「これは船酔いと言って、揺れからくるものだ。 数日すれば治まるよ。 それまでは嘔吐や熱が出た

  • ありんすっ‼ ~吉原、華の狂騒曲~   第百十二話 交換条件

    第 百十二話    交換条件 吉原には厳しい季節がやってくる。 「もう十月か…… これじゃ年末や正月の目処《めど》が立たないよ……」 妓楼では嘆き節が聞こえてくる。 その中で、一番の打撃を受けているのが三原屋である。 引手茶屋では勝来の殺人容疑の噂が消えていない。 時折、出てくることで勝来の客は遠のいていった。 (今は我慢だ…… しかし、このまま勝来が沈んでしまったら……) 采にも嫌な妄想が膨らみ始める。 「勝来姐さん、失礼しんす」 梅乃が勝来の部屋に入っていくと勝来の表情は沈んだままで、菖蒲が慰めていた。 「梅乃……」 菖蒲が言葉を漏らす。 梅乃はキョトンとして 「姐さん、なんで暗い顔をしているのです?」 その言葉を聞いた菖蒲は 「お前、なんで そんな事が言えるんだい? 勝来が殺人者の扱いをされていると言うのに……」 菖蒲が憤っている。梅乃は決して空気が読めない訳ではない。 「でも、疑いは晴れたじゃないですか…… 私だって何もしていなくても『死神』と呼ばれていましたから……」 梅乃がケロッと話す。 当時は落ち込んでいたが、段々と前向きになれたから言える言葉だった。 「ここまで三原屋を落としてしまった責任があるからさ……」 勝来が言葉を漏らすと

  • ありんすっ‼ ~吉原、華の狂騒曲~   第百十一話 耐え難きを耐え

    第 百十一話    耐え難きを耐え吉原に戻ってくると、静かな雰囲気だった。 昼見世の時間、多くの客は夜の為に品定めをする。 どの娘と遊ぼうか……だ。大見世の客は遊女を替えることはしない。 最後まで選んだ遊女と過ごしていくのが一般的である。 中には金持ちや舞台役者などが顔を見せると、違う遊女を指名することもある。 そんな中、ゆっくりだが三原屋で成績を伸ばしている妓女がいる。 千だ。千は気遣いの達人であり、どの客にも優しく接している。 今までの吉原の風習であれば『女性上位』であり、妓女が嫌がれば簡単に出入り禁止になってしまっていた。吉原の大見世は格式が高く、客は黙ってご機嫌を伺うようになっていた。 その風習に風穴を開けたのが千である。「源八様、着物が破れかかっていますね。 縫ってあげますわ……」千が客の着物の糸がほずれているのを見ると、静かに縫い出す。 客は黙って酒を飲んで待っていた。千は客の顔を識別できない。 遣り手の元で客が支払いをするときに、遣り手が客の名前を呼ぶ。 そうして客の名前を覚えていった。 その為か、千は客の選り好みはしない。 誰にでも平等に接していくうちに、多くの客は千の癒しを求めるようになっていった。  「千姐さんは凄いです」 禿の一花が驚いていると 「せ 千姐さんは気遣いが凄くて、私も勉強になるんだ」 古峰が微笑んで説明している。 昼見世の時間が終わり、多くの客が帰っていく。 千も玄関で見送っていると

  • ありんすっ‼ ~吉原、華の狂騒曲~   第百十話 容疑

    第 百十話    容疑 警察署では勝来の取り調べが行われていた。 「お前、花魁だろ! どうして殺したんだ?」 「私は殺していませんし、叩いてもいません」 こうなると取り調べではなく、尋問となっていく。 それは三日間、同じ事を繰り返して警察も勝来も一歩も引かない状態になっていた。 吉原では悪い噂が流れ、三原屋は閑古鳥が鳴くような状況になっていく。  「はぁ……」 采が困った様子になっていくと 「お婆…… 勝来姐さんは大丈夫ですよ。 何もしていないのですから、信じて帰ってくるのを待ちましょう」 梅乃は心労の采をなだめていく。 「では、行ってまいります」 小夜が元気な声を出すと、後ろに梅乃がついていく。 二人は警察署に向かったのだ。 吉原から早歩きで一時間ほど、「遠いな……」 小夜がぼやくと 「もう少し! 私が行った戦場は六時間ほどだったから……」 梅乃はニコニコしながら話す。 「梅乃は元気よね~ 昔から動きまくっていたものね」 そんな話をしていると警察署が見えてくる。 「あった。 ここに勝来姐さんがいる……」  「ごめんください」 今度は梅乃が元気に挨拶をする。 「お嬢ちゃん、どうしたんだい?」 警察官が訊ねると 「ここに勝来姐さんがいると思うのですが……」 「勝来? あぁ、吉原の女郎か?」 警察官は書類を調べ、容疑者の面会室へと案内する。 待つこと十分。 待合室のドアが開くと 「勝来姐さん!」 梅乃と小夜が声を掛ける。 勝来の顔は疲れていた。 元々が細い顔立ちだが、更に痩せた印象だった。 「大丈夫ですか? ここではどんな事を……?」 小夜が訊くと、勝来は下を向きながら着物の袖をまくる。 そこには無数のアザが出て来た。 梅乃は警察官を見る。 警察官は普通の顔をして勝来を見ていた。 (拷問は当たり前ってことか…… 戦争も同じ、官と呼ばれる者が正義なんだろうな……) 梅乃は黙って警察官を睨む。 「姐さん…… これ、着替えです」 小夜が勝来に着替えを渡す。 「ありがとね」 勝来が受け取ると 「ここで着替えなさい」 警察官が言う。 「ここで? なら、しばし出ておくんなんし……」  「貴様は容疑者だぞ! 犯罪人をそのまま置いておけるか! 早く脱げ」 警察官は悪びれもなく叫ぶ。 勝来は数秒、下を向き “シュ…… ” 帯

  • ありんすっ‼ ~吉原、華の狂騒曲~   第百九話 伝統

    第 百九話    伝統 秋になり、外は冷え込んでいた。 そこに二人の女が運ばれてくる。 「早く歩くんだよ!」 縄で縛られ、声も出せないように猿ぐつわをされていた。 これは吉原伝統の拷問である。 中見世の裏側、客も滅多に歩かない場所に大きな木がある。 そこには縄が掛けてあり、女を木に縛っていく。 「それで、誰に言われてやったんだい?」 三原屋の妓女が聞くが、勝来を襲った女たちは答えない。 すると “バシャッ―” 二人の妓女に水を掛ける。 秋が深まり空気が冷えて来た頃には水の冷たさが刺さってくる。。 「早く吐きな! これならどうだい?」 三原屋の妓女が棒を持ち、女たちを叩く。 江戸時代から昔、遊郭では足抜けが多かった。 会所の者が捕まえては妓楼に戻し、その後は三日間の折檻が続いたと言われている。 真冬であれば水を掛け、棒で叩くのは当たり前である。 折檻で死んでいく妓女も少なくなかった。 これは吉原だけでなく、日本の遊郭のしきたりのようなものだった。 今回は花魁への襲撃という悪事に対しての折檻ということになる。 しばらくの折檻が続き、黙ったまま采と洋蘭が見届けていると 「お婆、そのへんで……」 梅乃が止めに入る。 「何を言ってるんだい! 勝来が襲われたんだ。 こんなもんじゃ済まないんだよ」 采の目が厳しくなると、隣の洋蘭が何度も頷く。 厳しかった時代を過ごした二人には当たり前のことだったようだ。

  • ありんすっ‼ ~吉原、華の狂騒曲~   第二話 花見に馳せる夢

    第二話    花見に馳(は)せる夢江戸に春が到来した。春の知らせとは桜である。 桜が咲けば春の訪れを意識するようになるものだ。ここ吉原は、高い壁がある。出入り口にある大門(おおもん)は、唯一の出入り口であるが妓女や禿は外に出る事を許されない。引退や、身請けが決まったら外に出られるようになる。それまでは “籠の中の鳥 ” なのである。 そして外からの情報も少なく、春の訪れを知るのは仲の町(吉原のメイン通り)に咲いている桜の開花なのである。「綺麗……」 梅乃は、同じ歳の小夜と桜を見に来ていた。 小夜も顔立ちが良く、髪は梅乃と同じ髪型であるがオットリしていて庇ってあげたくなる感じ

  • ありんすっ‼ ~吉原、華の狂騒曲~   第一話 梅乃

    第一話    梅乃一八八一年  吉原 仲《なか》の町《ちょう》  「花魁《おいらん》、通ります」 三原屋の禿《かむろ》が大きな声を出す。派手な着物に、高下駄《たかげた》を履《は》く。 そして大きな傘の下、繰《く》り出す足は外に半円を描くように引きずる。花魁の外八文字《そとはちもんじ》という歩き方である。 顔は白く塗り、大きな瞳に淡い桃色のシャドウ。 薄い口元に、小さい紅が美しさを引き立てている。 こうして店の外にある引手茶屋《ひきてちゃや》まで客を迎えに行くのだ。 引手茶屋とは、規模の大きい妓楼《ぎろう》に対し、遊女《ゆうじょ》の予約をする茶屋の事である。 客は引手茶屋で

  • ありんすっ‼ ~吉原、華の狂騒曲~   第四話 継がれし想い

    第四話    継がれし想い 「ほら、いつまで寝ているんだい!」 朝の五時、梅乃は大声で起こされた。 「ふえ……?」 寝ぼけ眼で梅乃が目を覚ますと、妓女の大部屋が騒がしい。  “キョロキョロ……” 大部屋を見ると、全員が起きていた。 「起きた?」 小夜が梅乃の横に、チョコンと座る。 「なんで、こんなに早いの?」  「知らないの?」 小夜が驚いたように言った。 「江戸町二丁目の近藤屋が店を閉めるんだって!」 小夜は焦ったかのように話す。ここ吉原には五つの町が存在する。そこは大門(おおもん)から、突き当りの水道(すいど)尻(じり)までの約二百三十メートル真っすぐな道を仲(なか)

  • ありんすっ‼ ~吉原、華の狂騒曲~   第三話 豪華絢爛

    第三話    豪華(ごうか)絢爛(けんらん)あれから二年。 梅乃は十歳になった。「花魁、失礼しんす……」 玉芳の部屋に勝来がやってきた。最初の禿だった菖蒲は十五歳になり、下級の妓女となっていた。それにより、禿の最年長は勝来である。「本日の予約は……」 勝来が予定を読み上げると「へー 初見(しょけん)さんか……」 玉芳は驚いていた。玉芳が驚くのも無理もない。少し前だが、戊辰戦争が起こり 上野周辺は瓦礫(がれき)や死体の山であった。ここ吉原も、彰義隊の避難所として利用している為、戦争に巻き込まれたくない客は遠のいていった。「少し、客さんは戻ってきたのかしら……?」玉芳はキセ

บทอื่นๆ
สำรวจและอ่านนวนิยายดีๆ ได้ฟรี
เข้าถึงนวนิยายดีๆ จำนวนมากได้ฟรีบนแอป GoodNovel ดาวน์โหลดหนังสือที่คุณชอบและอ่านได้ทุกที่ทุกเวลา
อ่านหนังสือฟรีบนแอป
สแกนรหัสเพื่ออ่านบนแอป
DMCA.com Protection Status